自動車の排出ガスでは窒素酸化物(NOx)、非メタン炭化水素(NMHC)、一酸化炭素(CO)、粒子状物質(PM)が規制されていますが、それ以外にもさまざまな化学物質が排出されています。それらの量は一般的に微量ですが、なかには毒性が高く微量でも環境および人々の健康に影響を与える恐れがある物質があります。その中でニトロフェノール等のニトロ化合物が近年注目されています。これらの微量成分の測定には、排出ガス中の対象物質をサンプルバック、もしくはフィルターで捕集し、分析装置により分析することが一般的ですが、この手法だと時々刻々運転条件に合わせて排出が変化する微量有害物質が、どのような条件で排出されるのか、という点が解析できません。そこで、世界で初めて連続光源赤外キャビティーリングダウン吸収分光法を基本原理とするニトロ化合物測定装置を開発し、自動車から排出されるp-ニトロフェノール、ニトロメタン等を計測しました。なお本研究は環境省環境研究総合推進費の採択課題(S2-05)として平成19年度から21年度まで実施されました。

赤外キャビティーリングダウン測定法の基本原理
開発した赤外連続光源キャビティーリングダウン計測装置