トラック、バスなどの重量車の動力源には構造がシンプルで燃費の良いシステムが適しています。現在は軽油を燃料とするディーゼルエンジンシステムが使われていますが、地球温暖化の主因といわれている温室効果ガス(GHG)の排出量を削減する手段のひとつとして「カーボンニュートラル」といわれるバイオマス(生物由来の資源)から製造される燃料の利用が注目されています。しかし、車両適用時に出力、排出ガス性能が悪化し、燃料製造時に大量の電力や化石燃料を使用するとGHG排出量が大幅に増加(軽油比)するケースがあります。本研究では、間伐材や廃棄物などの非食物系を原料とするバイオマス燃料を対象とし車両への適用性試験を行うとともに、原料収集-燃料製造-車両運行の全体を通した(Well to Wheel)エネルギー消費量やGHG排出量を調査します。得られたデータをもとに総合的なエネルギーの利用効率や環境負荷低減の効果を適正に評価する手法を検討し、将来的に有望な「次世代バイオマス燃料」の利用を促進することに役立てていきます。

バイオマス燃料の車両適用性試験
各種バイオマス燃料のCO2排出量(WtW)の算出例