自動車試験場にて先進緊急ブレーキのデモ試験が行われました
自動車試験場にて先進緊急ブレーキのデモ試験が行われました
2010年10月27日、交通安全環境研究所自動車試験場(埼玉県熊谷市)において、先進緊急ブレーキシステム(以下、AEBS)のデモ試験が行われました。このデモ試験は、26日から東京で開催された、自動車基準調和フォーラム(WP29)/ブレーキ走行装置分科会(GRRF)/AEBSインフォーマル会議のテクニカルツアーの一環として行われたものです。デモ試験には同会議の議長をつとめるレンダース氏(欧州委員会 法規課長)をはじめ、各国の委員約40名、並びに日本の自動車業界などからの参加者を含め総勢約90名が参加しました。
AEBSはセンサーにより前方車両を検知し、接近して追突しそうになってもドライバがブレーキ操作を行わない場合に警報を発し、それでもドライバが反応しない場合には自動的にブレーキをかけて、衝突を回避するか衝突速度を下げるシステムです。大型車による追突事故を防止するための有力な装置として各国で開発が進んでおり、将来の普及に向けて、性能に関する安全基準を策定するための議論がWP29で行われています。
AEBSテクニカルツアーは、日本のAEBSに関する技術を各国に紹介するために行われました。デモ試験では、大型車2台と模擬障害物を用いて実証実験を行い、参加者は実際に大型車に試乗し、効果を体験しました。また、別途展示用車両(大型車)を用意し、AEBSの機能・性能に関する説明を行いました。
国連欧州経済委員会WP29/GRRFでは、大型車を対象にした追突事故の対策として、AEBSの国際基準の策定活動が行われています。2008年12月のキックオフ会議以降これまで10回の会議が開催されており、とりまとめに向けて大詰めの段階にきています。我が国はテクニカルサポート国となっており、当研究所からは第1回より廣瀬研究員が参加し、作成中の安全基準が我が国の事故実態を踏まえたものとなるよう、各国との調整に努めています。
我が国の大型車による交通事故の実態を調べてみると、他の車両への追突事故の割合が全体の55%を占めています。大型車はその大きさのため、一度事故につながると被害が大きくなる傾向があり、特に近年、高速道路等における追突事故が頻繁に発生し、社会的な問題になっています。

集合写真
|

デモ試験の様子
|