国際連合欧州経済委員会自動車基準世界フォーラム(WP29)では、低速度における車両近傍の交通弱者保護を目的とした、車両安全装備基準に係る専門家会議(VRU Proxi IWG)を設置し、当研究所の松井靖浩主席研究員が同専門家会議の議長を務めています。
日本で発生した車両との衝突による事故件数について、当研究所で分析した結果より、車両走行速度が低速度(10 km/h以下)の場合には、車両後退時の歩行者死亡事故割合が高いことが判明し、この結果を同専門家会合にて提唱し、車両後退時の安全装備に関する基準化が進められました。
さらに、当研究所の実験結果より、ソナーによる人の検知も可能であることが明らかとなったため、後退時車両直後確認装置としてバックカメラ、ミラーに加えてソナーも重要な対策技術の一つと位置付けられました。
これらの要件が定められた「後退時車両直後確認装置に係る協定規則(第158号)」が、令和2年11月にWP29において採択されたことを踏まえ、令和3年6月10日に道路運送車両の保安基準等が一部改正され、後退時車両直後確認装置が令和4年5月から義務化されます。
本装置の義務化により、車両後退時の歩行者との衝突事故の減少が大きく期待されます。 VRU Proxi IWG会議の様子 (左から松井(議長),Peter Broetjes氏(副議長),François Boulay氏(前セクレタリー)
後退時車両直後確認装置に求められる確認範囲