国際ワークショップ
”LRT Workshop’97” 開催報告

開催期日:1997年12月1日(月)〜12月5日(金)
開催場所:東京及び熊本市



       主催:運輸省交通安全公害研究所
             科学技術庁
           ((社)科学技術国際交流センター(JISTEC)受託)
       共催:東京大学工学部交通システム工学(JR東海)寄付講座

協賛):日本機械学会(交通・物流部門)、土木学会、    電気学会(交通・電気鉄道技術委員会)、都市計画学会、日本鉄道車両機械技術協会、    日本鉄道技術協会、日本鉄道電気技術協会、日本鉄道施設協会、日本交通計画協会、    日本地下鉄協会、鉄道総合技術研究所、運輸政策研究所、全国路面軌道協議会 後援:フランス大使館、ドイツ大使館、スイス大使館、オーストリア大使館

1.はじめに

 わが国でも、最近、「ライトレール」が注目され始めている。「ライトレール」についてはいろいろな定義があるが、旧来の路面電車を高度化し、都市構造との一体化を図るなどして、次世代にマッチした新しい都市交通システムに進化させたものと考えればよいだろう。ライトレールについては、欧米では環境と人に優しいという観点からすでにかなりの都市で中心的な交通システムとして活躍し始めている。特に都市計画と一体になっての導入や改善という点で先進的な経験を持っており、これらの国々のライトレールに関する専門家を招聘し、情報交換や討議を行うことは、今後のわが国におけるライトレールの発展のためにぜひとも必要であると考え、国際ワークショップ”LRT Workship '97 ”の開催を計画した(「ワークショップ」とは討論を主体とした研究会という意味である)。以下、昨年12月に開催されたワークショップの概要について紹介する。



2.ワークショップの概況

2.1 ワークショップの目的

 本ワークショップは、科学技術庁の国際共同研究制度を活用し、運輸省交通安全公害研究所の主催で計画された。ワークショップのねらいとしては、
1)欧米などで進んでいる都市計画と一体になった導入・改善例に関する情報や意見交換、
2)鉄道関係者と都市計画など他分野の関係者との意見交換や交流、などに重点を置き、鉄道関係者だけでなく都市計画関係者を含んだワークショップ開催のための委員会(企画運営委員会、委員長:曽根悟東大教授)を組織した。
 海外からの招聘者については、対象を欧州に絞り、フランス、ドイツ、スイス、オーストリアから計5名の専門家を招聘することとした。また、開催地は東京だけでなく、同年に我が国で初めて低床式ライトレール車両が導入される熊本市に会場を移し、試乗会などを行うこととした。


2.2 招聘者のプロフィル

 5名の招聘者はいずれも永年、ライトレールの導入や改善に携わってきた第一人者ばかりであるが、その横顔を紹介する。

○ミッシェル・フレノア
 フランスのリヨンにある国立交通都市研究所(CERTU)の研究者で、グルノーブル、ナント、ストラスブールなどこれまで新たに導入されり、リヨンなど現在導入が検討されているフランス各都市のライトレールに関する造詣が深く、今回のワークショップの欧州側代表者。

○アラン・メネトー
 斬新なスタイルの車両を導入して、わが国でも有名なフランス・ストラスブール市の交通計画の責任者。都市計画と一体になったライトレールの導入に関しての実務的責任者として活躍。

○ハートムート・トップ
 ドイツのカイザースラウテルン大学の運輸計画・交通工学研究室の教授。欧州全体のライトレールに造詣が深いが、特にドイツのオーバーハウゼン、カールスルーエ、ザールブリュッケンなどの状況に詳しい。

○ホルスト・シャッファー
 スイス・チューリッヒ市の公共交通公社のセールス・オペレーション部門の責任者。国際都市交通連盟ライトレール委員会の委員長も務める。ライトレールを中心にスイスにおける公共交通の取り扱いについて発表。

○ヘルマン・クノフラッハー
 ウィーン工科大学教授(運輸計画・交通工学専攻)。専門は数理工学だが、ウィーン市の交通計画などに関するコンサルタント業務を30年以上にわたって行っており、実務面の経験も豊富。


写真左から

曽根 悟 東京大学教授(ワークショップ企画運営委員会委員長)
ミッシェル・フレノア氏
アラン・メネトー氏
ハートムート・トップ氏
ホルスト・シャッファー氏
ヘルマン・クノフラッハー氏


2.3 参加者の内訳

 ワークショップは、1997年12月1日より5日までの5日間開催され(プログラムの概要を表1に示す)、参加者は280名程度に達した。会期中、ライトレールに関する情報や意見交換などが活発に行われ、有意義な成果が得られたものと考えている。参加者の内訳は公式招聘者(欧州より5名)、海外車両メーカー関係者、東京大学の客員教授など海外からの参加者が14名で、残りは日本国内からの参加者である。国内からの参加者は、大学、研究機関、中央官庁(運輸省、建設省など)、地方自治体、鉄道事業者、メーカー、ゼネコン、コンサルタントなどのほか、路面電車やバリアフリー関係の民間団体(NGO)やマスコミ関係の参加も多数あった。参加者の内訳を表2に示す。ただし、鉄道関係・非鉄道関係についてはおおよその分類である。



3.ワークショップの内容

3.1 プログラムの概要

 1日目と2日目は東京大学のキャンパスで行ったが、1日目はまず議論を始めるにあたって相互の理解を深める目的で、日本の現状などについての基調講演や欧州と日本との比較に関するパネルディスカッションを行った。2日目は技術的な専門的課題についての議論を深めるため、4つのテクニカル・セッションに分けて発表、討論を行った。3日目は東京での最終日として、会場を都心のホテルに移し、欧州側での現状に関する基調講演と各国での事例紹介など、この日1日だけ参加しても概略がわかるようなプログラム構成とした。
 4日目は移動日で熊本に移動し、熊本工業大学で熊本でのオープニング・セレモニーとレセプションを行った。なお、東京〜熊本の移動については、招聘者は往路か復路のいずれかに東京乗り入れを開始して間もない500系新幹線に試乗した。最終日は午前中に熊本市交通局の低床式LRV9700形に試乗し、午後は熊本市国際交流会館において基調講演とワークショップの最後を締めくくるパネルディスカッションを行った。



3.2 第1日(12月1日)

1)基調講演T
 「都市・交通の現状とLRTの将来展望−日本とアジアの都市を念頭において−」
  家田 仁(東京大学)
 主催者、招聘者などによるオープニング・スピーチの後、「都市・交通の現状とLRTの将来展望」と題して、家田仁東大教授(社会基盤工学専攻)による基調講演が行われた。この講演はワークショップのプロローグとして、外国からの招聘者を中心にわが国での路面電車の現状把握を主な目的とするものであるが、講演の中でも述べられたように「日本の都市はアジアの都市である」という認識を持つことが大切であるという観点から、日本とアジアの都市を念頭においた路面電車/ライトレールの現状、課題、将来性などについて講演が行われた。

2)パネルディスカッション
  「LRT導入に関する欧州と日本との比較 −議論を始めるにあたって−」
 午後には、「LRT導入に関する欧州と日本の比較」と題して、太田東大教授、青木共立女子大助教授の司会でパネルディスカッションが行われた。パネラーとしては、欧州からの招聘者5人のほか日本側から研究者代表として曽根悟東大教授(電気工学専攻)、ライトレールの所掌官庁である運輸省、建設省から、山下廣行鉄道局技術開発室長、平岡孝夫都市局特定都市交通施設整備室長、軌道事業者を代表して行徳健次熊本市交通局長、中尾正俊広島電鉄取締役電車部長が選ばれた。
 このパネルディスカッションはサブタイトルにもあるように議論を始めるにあたって相互の認識を深めることが主な目的であり、まず、パネリストが自己紹介をかねて、各都市、各国における都市交通事情や行政サイドからの都市交通、特に路面電車についての現状と将来の取り組みについて話してもらい、次に、曽根教授による問題提起スピーチとして、日本における路面電車の現状とLRT導入に際しての問題点を指摘してもらった後、パネラーによる討論、会場からの質疑の順で進められた。

 ◎「問題提起」
 司会の太田教授(東京大学)が、今なぜLRTなのか、誰がLRTを運営し、財政支援を行っているのかと問題提起を行い、曽根教授(東京大学)が続けて、日本にLRT車両を導入する場面を想定して、何が問題となるのかを、表定速度が低いこと(最高速度、乗降時間など)、定時性が確保されないこと(優先信号など)などを実例をもとに説明し、事業者から見た導入のメリットを高めるための財政面からの支援や運賃収受方法の変更などについて考えるべきといった課題が提起された。

 ◎「討論」
・今なぜLRTか?
 今なぜLRTかという問題提起に対し、クノフラッハー教授からは、LRTのシステムの優位性(エネルギー消費、システムの柔軟性等)が挙げられ、シャッファー氏からは、バスに比較しての輸送能力の大きさ、乗客への受けのよさが挙げられた。ドイツのオーバーハウゼンではガイドウェイバスとの比較において輸送能力が大きいことがLRTを選択した理由であるとの例が挙げられ、ストラスブールでは、速度、輸送能力、イメージにより選択されたとの説明があった。
・誰が費用負担し、運営するのか?
 誰がLRTを運営し、コストはどこが負担するかという提起に対しては、オーストリアでは、LRTだけ切り離して投資を考えるのではなく、都市交通システム全体で考えるフレーム作りが重要であるとの指摘がなされ、スイスではコミュニティや州が投資し、運輸連合が運営していく仕組みについての紹介がなされた。また、ドイツからは、公共交通への投資は短期的に見るべきではなく、大きな目で見ることが重要であり、運営コストも公共事業体からの負担や公的資金からの負担が前提であるが、公共交通そのものの採算ではなく、トータルで見ることが重要であることが述べられた。フランスでは、インフラについては公共が負担し、運営コストについては競争原理を導入することが望ましいとされている現状が紹介された。

◎「質疑」
 LRT導入の際に自動車利用者の反応や、自動車利用者にLRT導入をどのように納得させるかの質問がなされ、国により事情に差があるが、代替交通機関であるLRTにメリットを持たせること、通過交通をさばく外周道路の整備の必要性などが述べられた。



3.3 第2日(12月2日)

 4つのテーマについてテクニカル・セッションが行われた(写真1)。
1)セッションT 「LRT車両技術討論」  (座長:水間 毅(交通研))
 セッション1のテーマは「LRT車両技術討論」で、ADtranz、Siemens、GEC−Alsthomの技術担当からそれぞれ各社のLRVの現状と近い将来の動向について発表があった。ADtranzからはユーロトラム(ストラスブール・タイプ)、バリオトラム、GTx(ブレーメン、熊本など現在の主力タイプ)といった現在のタイプのほか、新しい統一モデルとしてATTタイプが2年後くらいに登場するとの話があった。Siemensからは今後の代表車種であるコンビーノを中心に説明があった。車長1mあたり1t以下という軽量化を図っており、現在4事業者から167両受注を受けている。日本のメーカーとの技術提携についての質問があったが、現在のところフリーでどこの会社ともコンタクトできる状態だとかわしていた。なお、世界最低床のウィーンのウルフ・タイプは開発者のSGPがSiemensグループの中で地下鉄車両担当にまわるため、他都市への配備の可能性は少ないと思われる。GEC−Alstohmはこれからの代表車種シタディスについての発表があった。一部区間で架線なし走行ができることがセールスポイントのひとつだが、この点については現在テスト中とのことであった。

2)セッションU 「LRT導入と次世代都市整備、市民参加」 (座長:望月真一(アトリエUDI))
 セッション2のテーマは「LRT導入と都市整備、市民参加」で、はじめに、路面電車を考える会の山根政則氏が「市民の目線から行政のLRT導入を働きかける」という題で広島市東西線ルートなど市民の立場からの提案をおこなった。続いて招聘者の1人であるフレノア氏から「都市におけるLRT導入の様々なタイプ」として、一度廃止した路面電車をLRTとして復活させたグルノーブル、ナント、ストラスブールなどについて紹介があった。また、宇野求千葉大助教授が建築家の立場から「LRTと次世代の都市デザイン」と題して、路面電車の線路延伸を伴う豊橋駅前広場のデザインなどに関する講演を行った。

3)セッションV 「LRTと交通計画、補助制度」   (座長:山田晴利(通産省))
 セッション3のテーマは「LRTと交通計画、補助制度」で、原田昇東大助教授(都市工学専攻)より「諸外国における都市計画とLRTの位置づけ」と題して、諸外国でのLRTへの補助制度、計画プロセスなどについての講演があり、「6レーンの高速道路を撤去して、LRTを導入し、都心で車を減らし、都心の魅力を増すのに成功したポートランド」の例なども紹介された。東京都交通局の橋本勲電車部長からは「東京都における路面電車の歴史と将来展望」に関する講演が行われた。都電荒川線が、現在、利用者が多いと言われている新交通システム「ゆりかもめ」(12km、6万4000人)とほとんど同じ営業距離で同じくらいの輸送実績を残しているという話は興味深いものであった。また、私的見解としながらも荒川線の延伸について大胆なビジョンが示された。また、建設省の笹森秀樹課長補佐より「路面電車に対する建設省の取り組み」についての講演があった。

4)セッシヨンW 「利用者の視点から見たLRT」  (座長:須田義大(東大))
 セッシヨン4のテーマは「利用者の視点から見たLRT」で、須田義大東大助教授(生産技術研究所、産業機械工学専攻)より「快適性と乗降容易性の定量的評価からの課題」について講演があり、快適であることが乗客を招くインセンティブであり、実物の2扉ライトレール車両とモックアップを用いて乗降時間と快適性に関する実験を行っているとの発表があった。続いて日本路面電車同好会の服部重敬氏より「セルフサービス式運賃収受方法の現状と日本での導入への課題−利用者の視点から−」に関する発表があり、同方式のメリットとデメリットに関する分析が行われた。最後に東京大学高木亮氏より「交通結節問題とLRT」と題して、案内情報や運賃システムも含めた結節点問題に関する講演があった。



3.4 第3日(12月3日)

1)基調講演U  「ヨーロッパにおけるLRT導入の現状と都市設計」 トップ教授
 まず、LRTのメリットとして、都市内に調和させることができる、公共空間の中でアクセスが容易である、地下鉄に比べて1/10〜1/15のコストで導入できるなどの点が挙げられた。
 次に、ライトレールを、@近代化されたトラム・システム(チューリッヒ、ウィーン、ミュンヘン)、
A新線型のトラム・システム(グルノーブル、ストラスブール、オーバーハウゼン)、
B改良型のLRT(イエテボリ、ハノーバー)、
C新線型のLRT(クアラルンプール、シドニー)、
Dミニ地下鉄タイプのLRT、
E新交通システム型のLRT(ドックランド、バンクーバー)、
FLRTと地方鉄道の共有タイプ(カールスルーエ、ザールブリュッケン)、
G地方鉄道から路面電車路線への乗り入れタイプ(ツヴィッカウ)、
Hゴムタイヤ型トラム(カーン)
の9種類に分類してそれぞれの特徴が述べられた。
 さらに、LRTの輸送能力についてはバスの2〜3倍、地下鉄の1/2であるが、旅行時間で考えると500〜600mごとに駅を持つトラムは10kmまでの移動では地下鉄より速い。このことは直径20kmまでの都市では、トラムが最も有効な公共交通機関であり、人口100〜200万人の都市では十分な公共交通システムを構築可能であることが述べられた。

2)講演と討議
  「欧州における新システム導入と在来システムのリニューアル」
  個別事例紹介(ドイツ、スイス、オーストリア、フランス)、総合討論
 欧州からの招聘者5人から、個別事例紹介としてそれぞれが関係する国や都市でのLRTの導入や改善例の紹介が行われ、それを受けて質疑、討論が行われた。
 トップ教授からはドイツでの例について紹介があり、オーバーハウゼン、ミュンヘン、カールスルーエ、ザールブリュッケンなどにおける新線建設や高速鉄道への乗り入れなどの例が紹介された。ザールブリュッケンはカールスルーエにならって高速鉄道への乗り入れを伴うライトレールを新たに新設した都市だが、昨年夏開業後まもないためわが国での紹介例も少なく、大変、興味深い発表であった。
 シャッファー氏はLRTのメリットを挙げながら、チューリッヒのLRTを中心にスイスの公共交通について紹介があった。チューリッヒでは公共交通を優先する政策が採られており、市内のトリップの55%を公共交通が占めている。100%低床式車両(コブラと呼ばれているものでシンドラーなどスイスのメーカーが開発したもの)が2年以内に導入される予定である。スイスでは公共交通はコミュニティの責任、財政で運営するのがこれまで基本であったという言葉が印象的であった。
 クノフラッハー教授からはウィーンでのライトレールを中心にした公共交通政策について紹介があった。ウィーンではトラム240km、地下鉄60km、バス650kmの公共交通ネットワークがあり、4000の停留所・駅があるが、2010年までに自動車の分担率を25%に引き下げ、公共交通の分担率を45%に引き上げようとしているとの話であった。
 フレノア、メネトー両氏からはフランスでの取り組みについて講演があった。フレノア氏はフランス全体でのLRTを中心とした公共交通改善への取り組みやグルノーブル、ナントへのLRT導入の紹介が行われた。続いてメネトー氏からストラスブールにおけるLRT導入の過程、LRTシステムの紹介が多数のスライドにより紹介された。
 最後の質疑討論では、マイカー規制に対する経済界の反対はないかというような質問やスミス東大客員教授(シェフィールド大学教授)から、必ずしも成功していないシェフィールドからの警告というようなコメントもあった。



3.5 第4日(12月4日)

・レセプション  熊本工業大学においてオープニング・セレモニーが開かれ、南戸交通研所長(主催者代表)、曽根企画運営委員長、フレノア氏(招聘者代表)、行徳熊本市交通局長などの挨拶があった。



3.6 第5日(12月5日)

1)超低床式ライトレール車両・見学、試乗
 午前中、熊本市交通局の車庫と健軍終点の間で、9700形超低床式LRVの試乗会が行われた。熊本での当ワークショップへの関心は高く、テレビ、新聞などマスコミ各社の取材があり、テレビ各局のニュースで放映された。招聘者は9700形の試乗だけでなく、他の車両にも乗車して熊本市の交通事情はおおよそ把握したようである。

2)基調講演V 「交通まちづくりからみたライトレールへの期待」 太田 勝敏(東大)
 午後は熊本市国際交流会館に会場を移し、太田勝敏東大教授(都市工学専攻)による基調講演が行われた。はじめに、都市交通が直面している諸課題と今後の公共交通の役割が述べられ、続いてライトレールの特長と課題がまとめられた。続いて、事例に沿ったライトレールと”交通まちづくり”のあり方、21世紀の”まち”に相応しい都市交通システムとしてのライトレールへの期待が述べられた。

3)パネルディスカッション
  「熊本市導入事例を基にした、日本におけるLRT導入への期待」 −招聘講師による感想・提言−
 招聘者5名、曽根教授、熊本市交通局代表の清永隆幸電車課長、アーバンデザイナーの望月真一氏の8名のパネラーと青木英明共立女子大学助教授の司会でパネルディスカッションが行われた。熊本市電に対する招聘者の印象は比較的好意的であったが、当然のことながらこれは出発点であり、都心部通過交通の抑制など交通計画上の対策の必要性も指摘された。また、歩道橋を渡らないと電停に行けないような箇所をなくすべきだとの指摘もなされた。さらに、カールスルーエなどでの経験を持つドイツのトップ教授から熊本でも既存の鉄軌道の活用、すなわちトラックシェアリングの提案がなされた。確かめ損ねたが、JRへの乗り入れなどを意味しているものと思う。
 このほか、LRTをはじめとする公共交通への補助制度の日欧の違いと今後のあり方、運賃収受方法、優先信号などについての議論が行われた。議論の中でウィーン工科大学のクノフラッハー教授が「ウィーンではトラムに1億円投資すれば、年間にCO2が1トン削減でき、道路に投資すれば3トン増加させる」と言っていたのが印象的であった。




4.むすび

 本ワークショップは、わが国におけるライトレールに関する国際会議としては最初のものである。今回のワークショップの開催は、欧州との協力活動だけでなく、国内におけるライトレールに関する諸活動の足がかりにもなったのではないかと思っている。  最近、わが国におけるライトレールへの関心には目を見張るものがあるが、まだ、名前に引かれた上滑りのブームである点も否めない。ライトレールが今後、日本で発展するかどうかは今後の活動にかかっており、本ワークショップを出発点として、国内各層での活動、欧州をはじめてとした海外との協力活動が盛んとなることを祈っている。

ホームページではワークショップの概要についてしか述べられないが、このほかに興味深い討論や質疑もいろいろあった。これらについては、本ワークショップの講演、討議内容などを盛り込んだプロシーディング(右写真)がレール・アンド・テック出版(Tel 042-361-5331 Fax 042-361-5380)より発売されているのでそちらを参照願いたい。


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